FX:プロスペクト理論のワナを回避するには 「原則に忠実」 であれば良い

プロスペクト理論のワナを回避するには 「原則に忠実」 であれば良い

 

こんにちは。

Do. です。

 

プロスペクト理論のワナについては

これまで何度か書いてきました。

 

今日は、ちょっと視点をズラして

プロスペクト理論を回避する方法を見ていきます。

 

 

フランス・ヨハンソン氏の著書

『 アイデアは交差点から生まれる 』

 

この名著の中に「 公平な目でリスクを測る 」という章があります。

その章の中で、プロスペクト理論について

これまでと違った視点からのアプローチがありました。

 

 

プロスペクト理論については、

投資を始めたら、必ず目にする言葉なので

多くの方がその説明を目にしていると思います。

 

ヨハンソン氏も、下記の例のように

ダニエル・カーネマンとエイモス・トバスキーが明らかにした

プロスペクト理論についての説明をしています。

 

 

『 アイデアは交差点から生まれる 』から引用します。

少し長いですが、こちらがプロスペクト理論についての

基本的な考え方です。

 

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「 無条件に 3000 ドル払う 」のと、

「 4000 ドル払う確率が 80% 、何も払わずにすむ確率が 20% の賭けをする 」のと、

どちらを選ぶか。

 

後者の、何も払わずにすむ確率のある賭けを選んだだろうか。

大半の人はそちらを選ぶ。

ある実験では回答者の 92% が、勝てば何も払わなくて済むが負ければ 4000 ドルを

払わなければならないという賭けのほうを選ぶと答えた。

計算上、賭けをしたときの予想される損失は 3200 ドル( 80% x 4000 ドル = 3200 ドル )で、

最初から 3000 ドル払った場合より 200 ドル多くなることを考えると、

やや不思議な感じもする。

この結果は、ほとんどの人間はリスクを避けるものだという社会通念が誤りであることを

証明しています。

実際には、この種の状況では大多数の人がリスクを積極的に受け入れる。

では質問の設定を逆にしてみたらどうなるだろうか。

 

「 無条件に 3000 ドルをもらう 」のと、

「 4000 ドルをもらう確率が 80% 、何ももらえない確率が 20% の賭けをする 」のと、

どちらを選ぶか。

 

おもしろいことに、この場合には結果が逆転し、

大半がギャンブルをしないほうを選ぶ。

回答者の 80% が確実に現金を手に入れる方を選択したのだ。

このギャンブルで数学的に予想される利益は 3200 ドルなのに、

突如としてリスク歓迎からリスク回避へと変わってしまった。

こうした逆転をどう説明できるだろう?

 

この研究を行った二人の心理学者ダニエル・カーネマンとエイモス・トバスキーは、

「 プロスペクト理論 」という考え方を使って

この結果を説明した。

この理論によれば、私たちは不確実性より失うことのほうを恐れているという。

人生において物事が瞬時に良くなるとはなかなか考えにくいものだが、

またたく間に悪化する可能性は用意に考えることができる。

したがって先の例でもわかるように、

私たちは確実な( 金銭の )損失を避けるためには、

ギャンブルすることも厭わない。

何かを失うことのほうが手に入れることより、

鮮やかな像を結ぶ。

そのほうがイメージしやすいし、痛みとして感じられもする。

だから私たちは失うことを恐れるのだ。

 

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さて、ここまでの話が前座になります。

 

このプロスペクト理論をちょっと視点を変えて見てみると

「 失うものがあるときだけ賭けをして、

得るものがあるときにはリスクを犯さない 」

ということになります。

 

つまり、「 無条件に 3000 ドルを払う 」時には賭けをして

「 無条件に 3000 ドルをもらう 」時には掛けをしないんですね。

 

これをトレードに置き換えれば

「 無条件に 3000 ドルを払う 」つまり、損切を行う時には

それを先延ばしにして相場が回復して損失が無くなることに賭けてしまう。

 

一方、「 無条件に 3000 ドルをもらう 」つまり、利益を確定する時には

そのままホールドして利を伸ばすという賭けをしないで、

早めに利益を確定しようとしてしまう。

 

こういうことになります。

 

 

「 失うものがあるときだけ賭けをして、

得るものがあるときにはリスクを冒さないのであれば、

長期的には損をする」

 

 

と、ヨハンソン氏は言っています。

 

 

そして、ここで友人のマーティンというポーカープレイヤーの話になります。

その部分を引用します。

 

 

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私の友人にマーティンというポーカープレイヤーがいる。

彼は( たいがい )ゲームに勝つ。

その秘訣を訊くと、こう説明してくれた。

 

「 ほかのプレイヤーの手を読むとか、

ハッタリかどうかを見分けるなんてことはあんまり関係ないんだ。

わかればそれに越したことはないけど、それで勝てるわけじゃない。

秘訣はとにかく、原則に忠実であること。

いい手が来たら大きく賭けて、手が悪いときには小さく賭ける。

そのことを肝に銘じるんだ。

勝つときには大きく勝って、負けるときには少なく負ける。

これが鉄則だよ。」

 

ついていないときに危険な賭けに出て、

うまくいっているときには早々に儲けを確定してしまう例を、

マーティンはいやというほど見てきた。

だがそういう人たちは、

最終的には損をするのだという。

 

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このポーカープレイヤーが言う

「 原則に忠実であること 」。

 

これは目からウロコでした。

 

プロスペクト理論の逆を行くには

これだけでいいんだ、という確信。

 

 

霧が晴れました。

 

 

これまで、プロスペクト理論の理解を

時間軸でしか見ていませんでした。

つまり、利確、損切のタイミングですね。

プロスペクト理論のワナを回避するには、

「 損切を早くして損失を抑え、利確を遅くして利を伸ばす。」

 

まさに正面突破という感じですが

解決策はこれしか無い、と思っていました。

 

ところが、このポーカープレイヤーは

時間軸ではなくて、賭ける金額の大小という軸を教えてくれました。

 

 

そして、ゆったり V スキャル のロジックを思い返してみると

「 いい手が来たら大きく賭けて、

手が悪いときには小さく賭ける。」

ということを資金管理ルールに取り入れていることに気がつきました。

 

ロット倍率を変更している部分です。

 

レンジロジックでは優位性が高いタイミングでは

ロット倍率を 2 倍にしています。

また、昨日もメンバーさんからのメールを紹介したように

トレンドロジックでは優位性が高いタイミングでは

ロット倍率を 3 倍にしています。

 

 

これは、「 いい手が来たら大きく賭ける 」

ということをルールに取り入れていることになります。

 

プロスペクト理論のワナを回避するための原則を

ルールに取り入れていた、という事実に今日、気がつきました。

 

今月の +1691pips という数字は、

この「 原則に忠実であること 」が反映された結果なのかもしれません。